8/11-12 尾白川黄蓮谷右俣

夏合宿Aチーム Tリーダー、Aさん、I

今年のテーマは南アルプス。春合宿は黒戸尾根⇒甲斐駒⇒鋸岳⇒日向八丁尾根としたが、消化不良気味。冬合宿の案の一つとして黄蓮谷のアイスを考え、下見を兼ねて夏合宿で黄蓮谷右俣の沢登りをすることに。気になるグレードは3級上、どうなることやら…

前日の夜、道の駅はくしゅうでTさんとTさんの夫と落ち合う。尾白川駐車場にAさんの車を止め、Tさん夫の車で矢立岩の駐車場に送ってもらう。感謝!

1日目

当日朝は4時起き、5時出発。1時間あまりの林道歩き。尾白川と共通の序盤は水量もあり、雪に磨かれた上越の沢に似ている。よく言えばエメラルドグリーン、悪く言えばコケっぽい。岩質は花崗岩、乾いているところはフリクションが効くが、半濡れの部分はぬめりが激しい。

スラブの大きな滝が続き、フリクションで登っていく。登れない滝にはわかりやすい巻き道がついているが、まちがえると痛い目に合う。

尾白川から別れ、黄蓮谷に入ると水量も半減。

千丈の滝を見つめるTさん
圧倒的な坊主滝

水量が減ったにも関わらず、スケールが大きく登れない滝が多い。千丈の滝、坊主滝、前後する滝も巻きを選択。坊主滝はところどころ踏み跡を見失いながらも、左股を分けた先で懸垂下降。

水量が減った沢を小気味よく登っていく

沢も細くなり小気味よく標高をあげていく。奥千丈の滝あたりから登れる滝が多く、登攀的になる。水線沿いを登っていくとしぶきが跳ねる滝、どうも逆くの字の滝らしい。Aさんがロープを付け、リード。途中から右手に逃げられそうだが、取り付くとなかなか逃げにくいようで、ずぶぬれになりながら乗り越す手前で右に逃げる。続いてTさんが取り付くが、核心の水流の中で動きが止まる。5分ほど長考し、どうにか直登して突破。カッパを着るも当然ながらずぶぬれ。最後は自分の番、なるほど使えるホールドは水流の中で、安定して登ろうとすればするほどシャワーを浴びる。

滝に打たれるTさん

逆くの字の滝を超えた先で、右の草付きに行くはずが左にわたってしまう。そのまま左壁沿いに登ろうとするが、ぬめぬめのスラブで自分は突破できず。Aさんに代わり、壁沿いにカムを決め、スラブをたわしで磨きつつようやく突破。フォローで登るが全く油断できない。その後、水線に戻り、右手草付き、クラックを経て奥千丈の滝をようやく抜け出す。

水線沿いにしばらく進むが、難しそうな箇所で左巻きを選択。ルンゼを経て尾根の灌木帯を進むがどんどん沢と離れてしまう。巻き道を進むか沢に戻るか迷いつつ進み、気が付くと5時近く、いい加減疲れてきたころにAさんが右手の尾根にBPらしきところを発見。尾根から懸垂してスラブをトラバース、ようやく今宵の宿に到着。不思議なことに薪も用意されていて早速焚火。思い思いに装備を乾かす。

2日目

快晴の朝、5時起床、6時半出発。細くなった水流を遡行していくが、疲れているせいか足取り重く、巻きを積極的に選択。二股を過ぎたあたりで左に巻き、踏み跡をたどるが、Aさんはスラブに出て、壁沿いの草を頼りに進む。Tさんと自分は灌木交じりの踏み跡をたどる。途中でスラブ面を覗くとスラブを登りきるAさん。落ちるとちょっとやばそうなところであり、登り切った姿を見てほっとする。Aさんは途中からロープも出せず、相当な体力とメンタルを消耗したよう。

(残念ながら苦戦したところは写真がありません)

奥の三段の滝(取り付いたときはこれが奥の三段滝かどうかもよくわからず)の一段目、左右に岩場があるが、右は上部がかぶっていてとても登れそうにない。左も厳しそうなので間の草付きの踏み跡をたどるが、見失いつつ左上ぎみに進む。壁に突き当り上には抜けられず、左手の滝をクラック沿いに左壁までトラバース。着いた先にハーケンが数か所残されている。(3段目の滝のスタート)一段上がり灌木沿いに進んで右のスラブに出ようとするが乗り越せず。直登するがかぶり気味のクラックから右へトラバースるところがちょっと難しい。

平和な草付き、あとは歩くだけ

滝を抜けたところは平和的な草付きそのもの。もう滝が出てこないことを祈りつつ進む。踏み跡をたどっていくと山頂直下の岩にでて、11:30山頂。装備を解き、長い黒戸尾根を下りきったのは5時をまわっていた。

巻き道は割と明瞭だが、ルートを見失ったり、選択をミスるとかなり痛い目に合い、3級の沢の難しさを味わう。また、ロープを出すべきタイミングを逸してしまったり学ぶべきことが多かった。「当分スラブは遠慮したい」というAさんの言葉で山行を締めておきます。

5/3-4 春合宿:甲斐駒ヶ岳

春合宿C隊 Nリーダー、I

GWの渋滞に巻き込まれ、登山口の尾白川渓谷駐車場をスタートしたのは11:00。18時くらいまでに七丈小屋につけるだろうと予想していたが、リーダーの体調不良と自分も足が靴に当たって痛みがあり、ゆっくり目のペース、着いたら20:30。小屋番の花谷さんに呆れられる。予定では翌日は鋸方面に進むことになっていたが、体調などを鑑み、急遽、甲斐駒ヶ岳ピストンに切り替え。

余裕のリーダー

翌日は5時起床、6時過ぎに出発。9時に山頂着、風もなく完璧な天気の下、360度の展望を望む。テン場に戻り、11:30に下山開始。やはりペースが落ちてしまい、下山は18:30。
ひさびさにゆっくり登山を楽しんだが、「山は逃げていく」という言葉が刺さる山行でした。

2022.11.12 子持山獅子岩

11月の2週目は渓稜祭である。会員一同が集まり焚火を囲んで酒を酌み交わし、山について語り合う。この数年はコロナの影響もあり開催していなかったが、新人も増えたこともあり、久々に開催されるとのこと。それに合わせて有志5名で獅子岩マルチに。

8時に子持神社駐車場に集合し、乗り合わせて登山口の駐車場に。

Aさんが先頭に立ちアプローチ。沢沿いの登山道を、まるでロープもギアも持っていないかのような軽やかな足取りで、先を行く登山者を次々と抜かしていく。分岐の標識ではAさんの汗がしたたり落ちる。

迷うことなく基部に到着。2パーティの待ち、さらに上に登っている組があり、相変わらずの人気。約1時間ほどの待ちの間、のんびり準備をすすめるが、Y兄貴から「あ、ルベルソ忘れた」との告白。

お勤めを終えて晴れやかな兄貴

マルチピッチのリスク管理について、Sさんからよく聞こえるひそひそ声で貴重な体験談が語られる。貴重な知識を得て、リスクを減らすべく、それぞれ茂みに消え、身を軽くする。

女子2人、男子3人の組み合わせとなり、女子チームが先行する。11月だが無風快晴で絶好のクライミング日和。Tシャツ1枚で挑む。

10時過ぎ、登攀開始。

離陸前最終チェック 高まる緊張

女子チームは奇数ピッチをTさん、偶数ピッチをSさんが担当。

1ピッチ目は、トポの1・2ピッチをつなげるスラブから傾斜が徐々に立ち垂壁へ。

話しかけているのは誰? Tさん

Tさんの1ピッチ目、一人での語りが止まらない。登りながらずーとしゃべっている。それに対し、フォローのSさんは全くしゃべらず。いつものにぎやかさは影を潜める。二人ともそつなく上り、核心のハイステップを丁寧に乗り越える。

登るときは寡黙なSさん

女子チームが1ピッチ目を登ったところで2ピッチ目を上る前のパーティのリードが落下。緊張が走る。足をやってしまったという声が聞こえるが、どうにか登り直し、継続していく。

やる気みなぎるAさん

男子チームはどう組むかを話すが、Y兄貴からは確保器がないのでフォローで、とリードを固辞。やる気みなぎるAさんが奇数ピッチ、Iの偶数ピッチで挑む。危なげないAさんのリードに続きIが登りY兄貴が続く。安山岩のスラブは滑りにくく登りやすいが、ところどころおっという感じのムーブが求められる。何回か来たことがあるので今回ゆるめの靴を履いてきたところ、たち込みができずに焦る。

2ピッチ目、自分がリード。足元に不安を感じながらどうにか上がっていき、巨大なフレークをピンチで持って乗り越す。

3ピッチ目 離陸直後の兄貴

核心ピッチの3ピッチ目、Aさんのリード。初見では結構手こずる人が多いところだが、サクサク登っていく。ただ、登り終わって、ロープアップでトラブル。片方のロープがハンガーともう一方のロープに引っかかり動かない。動くほうのロープだけを先にあげ、Y兄貴が登って外すことに。二人同時登攀ができないので、ここで大きくタイムロス。

4ピッチ目は再び自分がリード。4ピッチ目のスラブを上ったところで先行する女子チームがいない。時間短縮のため継続して5ピッチ目に突入。ロープが重たいがどうにかテラスに抜ける。相変わらずルート取りがわかりにくい。

支点をもう少し上に作ればよかったIのビレイ

テラスに出ると女子チームは早々にハーネス、ロープをしまい、最終ピッチは登らずじまいを決め込んでいる。自分もそれに倣っていいかなと思っていたが、登ってきたAさんY兄貴は登るということで自分も連れられる。

短い最終ピッチを抜けるとすでに2時を過ぎている。グータッチで登攀を締め、道具を片付けながら遅い昼食を取ろうとしたが、食糧を車に忘れたことが発覚。気落ちする自分にAさんがさりげなく渡してくれた、ちくわパンが空腹にしみて非常にうまい。見つけたらリピートしたいもの。ごちそうさまでした。

下山後は温泉で汗を流し、長瀞の渓稜祭会場に一路車を走らせる。皆で乾杯したビールが最高に美味しく、ちょっと飲みすぎました。