北岳 荒川北沢-嶺朋ルート(会員山行)

7/23-24 前夜車中泊 天候:1日目曇り、2日目晴れ メンバー:N(リーダー)、T(記)

DAY1 6:00野呂川発電所ゲート 7:00弘法小屋尾根取り付き 8:00北沢取水口吊橋 8:40釣開始1570m沢辺り 11:10遡行再開 13:15ミヨシ沢出合 14:45滝沢出合(三俣)15:45八本歯沢出合 16:45 ポンプ小屋(2570m)17:10旧北岳小屋跡周辺(幕営)

DAY2 4:40幕営地発 5:40北岳山荘 6:50吊尾根分岐 7:10北岳山頂 8:20八本歯コル 10:00ボーコン沢ノ頭 11:25 地点2496m 12:45地点2219m 14:15旧広河原山荘

先輩から旧道とマイナールートの新道を通る北岳山行の話を聞いて、いきたいと飛びついた。深夜1時半に奈良田駐車場に到着し、仮眠してから5時半の広河原行きバスに乗り、野呂川発電所手前のトンネルを出たところの工事現場ゲートで降車。

ゲートからはしばらく工事現場の作業道を進みます

⭐︎工事ゲート~出合い
林道をすすむ。左岸には上方に新しい道を作っている様子。
途中から上下に分かれますが、低い方の工事道を進み、その道の終点にある下降用ロープで沢に降ります。そこで沢装備に替えて、対岸へ渡り出合いの堰堤にかけてある小さなハシゴで、コンクリートのでっぱりをへつりながら、回り込み堰堤の向こう側に移動。ちょっとしたアトラクションみたい。ハシゴは立てかけてあるだけでグラグラしていました。

現場用のロープを使わせてもらう
黄色い小さな梯子を登り、内側にまわり込む。

⭐︎出合い~弘法尾根~北沢

⭐︎出合い~弘法尾根~北沢

荒川出合いは二又で左が本谷で右がお目当ての北沢ですが、一旦弘法尾根に上がっていきます。このまま、北沢に行くとどうなるのか気になりますが、弘法尾根もお初。一度冬に行けるかと思って地図を見て、結構急登だなと思った記憶があります。
弘法尾根取り付きは河原右手にあるはず。2018年はハシゴがあったようですが、わずかな踏み跡と崩れかけた斜面があるだけでした。その場所からやや上を見上げるとしっかりした踏み跡と手すりのような、パイプが組んであります。傾斜はしっかりありますが、ここは明瞭なので迷うことはないです。とは言ってもつづら折れの箇所で行きすぎたりしましたが、無事に1540mあたりの北沢と小さく書かれた手作りな道標に辿りつきました。これを右にすすみ、トラバースしていくと取水口に向かう吊橋がみえます。吊橋の手前に北沢と池山沢の分岐があるはずですが、トラバース道からは確認できませんでした。吊橋を右手に見ながら、少し平坦になった踏み跡を北にすすんでいくと北沢に出ました。

⭐︎北沢遡行~旧北岳山荘付近幕営地

⭐︎北沢遡行~ミヨシ沢出合

北沢に出たところは旧登山道と思われる明瞭な踏み跡があり、右へ左へと歩ける箇所は行ったり来たりします。ルンルンで進んで1570mくらいまで来ることができました。このあたりの淵に岩魚の影を見つけて、N先輩の釣りタイムです。
Tは獲物を調理する準備をしますが、落ちている枯れ枝はほとんどみな濡れています。なかなか火が安定せず、せっかく釣れた岩魚ちゃんを焼いてあげられません。ひたすら仰ぎ続ける作戦で遠赤外線効果でふんわり焼き上がりました。美味しゅうございました。ここで8時半-11時過ぎまで約3時間弱停滞。まだまだ序盤です。口福チャージしたので頑張って進みます。

竿をたらし獲物をねらうNさん
なかなか火が続かない。。

1700mくらいまでは広い谷間をすすみます。それを過ぎると沢幅は少しずつ狭くなり、右岸に岩壁が迫ってきて、1770m辺りで地形図の破線で記された沢の高さのある滝が奥に見えたりします。踏み跡はたまに現れる程度になってきて、斜面の獣道のような細い踏み跡をすすんだり、流れてきた倒木やら、巨石やら、ときおり、罠のような踏み抜きを突破していきます。

⭐︎ミヨシ沢出合~旧北岳山荘付近幕営地

1900m付近のミヨシ沢の分岐手前あたりから開けた渓相になり、2100mあたりの滝沢出合いの三又に至ります。ここは沢床の低い方の右の沢に向かいます。途中の滝は左側の斜面を上がって超えます。2018年の記録だと「左のバンド」を行くとありましたが、バンドに上るまでが崩れやすかったです。

さらに進んでいくと北岳の稜線がドーンと見えます。2350mあたりの八本歯沢分岐を超え、さらに高度を上げていきます。このあと分岐が3回出てきます。記録を参考に最初の2回は左に行きます。源流が近づいてきて、さすがの水量もなくなってきます。最後の分岐は右に進みガレガレの急登をどんどん行くと2570mあたりでポンプ小屋が見えてきます。

上がひらけて稜線が大きく見えてきた!

シンクが埋め込まれた水場を過ぎて旧北岳小屋跡を探します。はじめ踏み跡をたどって右にいくと崖でした。地形図では水場からまっすぐ上に出るとわかっているのですが、踏み跡探して少しウロウロしました。
2640mの旧北岳小屋跡の石垣の北側に少し入った幕営適地を今夜の寝床としました。
沢床はかなりぬめっていて、ラバーだった自分はだいぶ苦労しました。

⭐︎旧北岳小屋跡〜北岳山頂〜八本歯コル

 翌朝は5時発予定でしたが、N先輩のテキパキさにあおられて、4時半過ぎに出発。北岳の稜線を目指します。ポンプ小屋に繋がる黒いホースを辿りながら、うっすらある踏み跡を探しながら登ります。途中から地図の水場への点線に沿って写真のように明瞭になり、北岳小屋が見えてきます。

登ってきた急登を振り返ると、雲海と富士山。

テン場で一息入れてから山頂に向かいます。山頂までは登山道を快適に歩きます。少し岩々しているところもありますが、朝一からの急登に比べたら快適です。

吊り尾根分岐にむかう。秋っぽい景色はここくらいでした。
きた道を振り返ると北岳山荘が見える

⭐︎八本歯のコル〜ボーコン沢の頭〜広河原(嶺朋ルート)

八本歯のコルの分岐から先は初体験。分岐からすぐにピナクルを回り込むように進むところがあります。そこを過ぎるとボーコン沢の頭までは緩やかな稜線を途中、バットレスを登攀するパーティーや幕営したあたりの斜面を振り返り見ながら進みます。

中白根山。コルからは白峰三山の縦走路やバットレスが良く見える
幕営場所は丸のあたりかな??
バットレスからはコールの声がよく聞こえました。

ボーコン沢の頭にあるケルンには東西南北に案内があります。北「赤抜沢口を経て広河原に至る」東「池山御池小屋を経て芦安に至る」西「八本歯をへて北岳登頂に至る」南「池山吊尾根砂払」。東西のルートは今も一般道として利用されていますが、南北のルートはバリエーションとして利用されるのみに変わっています。

広くて眺めの良い場所ですが、冬は風がとても強く抜けるそうです。

ボーコン沢に頭から尾根に沿って嶺朋ルートにむかいます。

2770m嶺朋ルート入り口。3時間は無理無理

いきなり薮ですが足元はしっかりした踏み跡があります。ボーコンの頭ですれ違った嶺朋ルートを上がってきた単独の方は薮が成長してたと話していました。(この方はTの知り合いでした。)このくらいなら余裕だと思っていましたが、やはり、簡単には行かせてくれませんでした。

急傾斜の岩尾根には所々赤ペンキがついていますが、巻きは薮や樹林帯に入るので見失いやすくルーファイ必要です。

この辺りは赤ペンキが良く見えますが、足元は藪藪です
踏み跡は薄い所も多くトラバースもルーファイが必要
2550m辺り。この後からは樹林帯をウロウロしながら下りるようになります。遠くに甲斐駒も見えています

2400m過ぎた辺りから、短い間隔で木に赤ペンキがついていますが、倒木で遮られたりして正規ルートの進行もなかなか捗りません。倒木のトンネルを潜ったり、跨いだりしながら、赤ペンキを辿ります。ペンキを見失うと道をロストしているので、地形を見ながらもどるルートを探しますが、これが結構タイムロスになりました。2000m辺りから尾根は開けてきて少し歩きやすくなりますが、足元は崩れやすくすべりやすいです。14:30のバスに間に合うように最後は猛ダッシュです。

広河原手前で振り返ってみた

吊り橋を2本渡って、14時15に旧広河原山荘到着。長かったですが北岳登山の歴史を感じることのできた大満足お腹いっぱいの山行でした。北沢遡行も嶺朋ルート下降も、たくさんのトラップに(踏み抜き、浮石、倒木、ぬめり)はまりまくりでした。おかげで傷だらけです。無事に下山できて良かったです。Nさんお誘いいただきありがとうございました。(Tayu)