立山三山・龍王岳東尾根(会員山行)

メンバー:Yさん(L)、Kさん(SL)Nさん(装備)、H(記録)
日程:2024年11月24日(日)~25日(月)

【1日目】
 ターミナル8:00~室堂10:00~雄山12:20~雷鳥荘16:20

富士山は最も遅い初冠雪。立山も雪が降ったという情報は入っていたが、軽アイゼンでも登れるくらいかもしれない・・・?!富山県の条例に適合させるために、登山届や装備(ビーコン、スコップ、プローブ)を持ち、扇沢に向かう。

大町に到着すると山々の間から真っ白に雪が積もった山がちらり👀✨

うわぁああ~~雪山だ!と心が躍りながら立山黒部アルペンルートへ。(2024.11.30まで)電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスを乗り継いで室堂へ。往復チケットなので無くさないようにどこにしまったか何回も確認(笑)

室堂に到着するとそこはもう・・・白銀の冬山

テンション爆上がり!『俺たちの季節が来た~~~!!!』と血が騒ぎます。

一ノ越まで行ってから、1日目に龍王岳に登るか周回にするか判断するということで歩き出し。にしても本当に綺麗。雲海も見れ、雲の間から見える真っ白な鹿島槍はかっこよく、エベレストのよう(笑)

雪のギュっギュっと締まる音。

見渡せば360度山。

年末合宿で行きたいと考えている剣岳や八ヶ岳も。Yさんが登ろうと考えていた剣岳の早月尾根も見え、下見バッチリです!早くも次はどこにいこうか~とワクワク。

ベテランのNさんもKさんもカメラのシャッターが止まりませんでした!

雄山頂上

周回コースの道はなかなか歩きずらくハード。雪はあるものの、締まってないためズボズボと抜け、雪の下には岩があり、ガリっとアイゼンがあたり、バランスが崩れる。そんな中でもNさんはハイペースでどんどん進んでいきます。経験値の違いを身に染みて感じます。Nさんの身体の組織はどうなっているのだろう・・・

動物の足跡を参考にするとルートが見えてくるよ!と教えていただき少しだけHも先頭へ。晴れているからできることで、これが雪が降っていたり風があると厳しいな…と。そしてすぐ先頭をKさんへバトンタッチ。バックカントリーの滑った後がありますが、トレースはあるようなないような・・・あまりにも景色がきれいで歩くのに夢中になり、軽食をあまりとらずに進んだため少しバテぎみ。

ようやく野営場のテントが見え、近くの川を渡り、雷鳥荘が見えてきました!あと少し~~!!の雷鳥荘までの登り返しがキツイ💦前に進んでいるのか?と心配になるくらい足が重い。途中でのエネルギーをとる大切さを感じました。

小屋は温かく快適。天然温泉付きで夜ご飯はお代わり自由。この快適さに慣れてしまうとテント泊には戻れなさそう。明日が小屋締め。最後に美味しいご飯をごちそうさまでした。

【2日目】
 雷鳥荘7:10~8:10~取付9:00~龍王岳13:15~デポ14:10~ターミナル15:00

6:30からの朝食に間に合うように起床。コーヒーを飲みながら早朝MT。朝食はバイキング形式だったため、昨日の反省を生かし、たくさん食べてシャリバテにならないよう準備万端👍

今日の天気も最高!

荷物が重かったため、立山室堂山荘の近くにデポ。

雪を少し掘って、ツェルトの中に荷物を入れて、少し埋める。なるほど…こうやって置けばよいのか💡荷物がと~~~っても軽くなりました!!

一ノ越を越えると見えてきました龍王岳。

これを登るのか、登れるのか!?私。

オンタイムで取付。

大きな岩壁の手前でロープを結び、登攀開始。

事前にネットで見てはいたものの、実際に見るとドキドキ。アイゼンを付けたまま登れるか!

Hに最初の難関。アドレナリン全開😃

一度ヒヤッとするところもありましたが徐々に足をかけてからの重心のもっていきかたを感覚でつかみ、楽しさ全開👍

雪があるので右にトラバースすると簡単に登れそうでしたが、そっちだとつまらなさそうだから左側からいこう!ということで難しい道へ。

途中、簡単そうなところでリードもやらせていただき、こんな経験させていただけるなんて…光栄すぎます。

先輩方に見守られながら腰がらみでビレイ。

首のところだと何かあった時におさえられなく、首ごといってしまう。安定したところに座ってやると〇

夢中になって登りましたが、10ピッチぐらい。ロープを使って安全に登りました。私がいなかったらみなさんスタスタと時間をかけずに登り切ってしまうのだろうな・・・時間をとってくださって感謝です。

支点をとるときに岩の間に入れたり、雪に埋まっているハイマツを使ったり、リードで登ってビレイをするときに時間がかかりすぎてしまうので、安全環付きカラビナにロープを通して引き上げるなど実践でしか学べないことがたくさんありました。ランニングをとらなかったため、ロープが岩に絡まってしまい、Kさんに降りてもらい迷惑をおかけしました。今回は、降りることができましたが、厳しいところだったら?1ミスが命取りになることもあるということも考えてもっと知識も経験を積んでいきたいと思います。

ロープワークも復習していましたが、いざとなるとあれ?とやり直しをしたりしていたので、正確にスピードよくできるようにたくさんロープに触っていきます!!

辺りを見渡せば絶景✨🏔

無事に登頂

ベテランの先輩方に連れて行っていただき、天気も味方をしてくれ、楽しいアルパインデビューをさせていただきました。ラッセルできる体力、ルーファイ、天気について、クライミング技術、自己管理能力と学ぶべきことはたくさんありますが、実力をつけていろんなところに安心して挑戦できるようにしたい!と思います。

こんな山行をしてしまったら、もう沼です。(笑)

帰りたくない・・・徐々に明日仕事・・・?という現実に戻されながら最後の最後まで最高の天気で最高の山行ができたことに感謝してロープウェイへ。

次はどこに登ろうかな・・・

薬師の湯で温泉に入り、近くのお蕎麦屋さんでお蕎麦と馬刺しと鮎の塩焼きセットをペロリ。

とても学びのある超~超~超~最高の山行、予約から申請等もありがとうございました。

(※どの写真も良すぎて載せきれませんでした)

錫杖岳 前衛壁 左方カンテ/注文の多い料理店

日程 2024年10月13日~14日
メンバー I村さん(L)、A木(SL/記録)

暑い、とにかく暑い。
10月も半ばにかかわらず、汗だくになりながら新穂高温泉から幕営予定地に向けて尾根を上がる。地球はどうなってしまってるんだろうか。
環境問題にも思いを馳せながら、私は大変なことに気づいた。
「I村さん、大変です。ビール持ってくるの忘れました!!焼酎しかないです(涙)」

I村さんはいつもの落ち着きでこう言ってくれました。
「大丈夫。私が500ML持ってきたから、分けましょう。乾杯するには十分です」
ほんとうにやさしい人だ。感謝しかない。ひょっとしたら神様なのかもしれないとすら思える。

幕営予定地の錫杖沢出合いまでは急登が続く。
さすがのI村さんも長袖のままでは暑いようで、途中、ザックから取り出した半袖のシャツに着替える。

「あれ?濡れてる・・え?まさか?・・クンクン・・・やべ、、」

I村さんのザックから黒ラベル(500ML缶)が出てくる。見事なピンホールだ。
期待のビールはその半分以上をI村さんのザック内で放出していた。

半泣きになりながら残りのビールを二人で飲み干す。(これはこれで美味しかったです)
今夜の乾杯は焼酎の沢水割に決定した(涙)

幕営地の錫杖沢出合いは、3連休ということもあって満員御礼。
トゲトゲの木に囲まれた比較的平らな場所を確保、荷物をデポして左方カンテに向かう。

=Day1:錫杖岳前衛壁 左方カンテ=

1P目の取付き。いよいよ楽しいナチュプロの世界だ。

取付きにたどり着くと、ちょうど前の3名パーティーが離陸したところだった。
そそくさと準備を進める。
どうやら奇数ピッチが面白いらしい。I村さんのおすすめで私が奇数ピッチのリードを担当することに。

1P Ⅲ 40m(A木)
顕著な草付きの凹角を登る。ここはサクッと。
2P Ⅳ 40m(I村さん)
ガリーの中を詰めてサクッとピナクルに到着。
3P Ⅴ+ 40m(A木)
ピナクルを詰めてフェイスに上がる。そのまま小さなクラックを頼って直上するか、ハーケンのある右に出るかで迷うが、結局クラックをレイバック気味に直上。
クラックを詰めた後は結局右にトラバースするのだが、ややランナウト気味になるので少しいやらしかった。
後で聞いたところ、迷ったポイントでは右に出るのが正規ルートと聞いた。
先行Pに追いついたので、終了点の少し手前でピッチを切る。
4P Ⅳ 25m(I村さん)
湿ったチムニーを詰めて大木テラスに。さらっと登る。
5P Ⅴ 40m(A木)
I村さんの助言。
「正面のクラックを詰めるもよし、フェースを詰めるもよし。好きに行くがよい」とのこと。
クラックを登り始めたが、先行Pが途中の立ち木でピッチを切っていた。お先にどうぞ、とのことで、彼らを避けるため左のフェースに移る。ところどころにあるポケットからカムで支点を取りながら進んで、立派な立ち木でピッチを切った。
6P Ⅱ 10m(I村)
やさしいながらも脆い岩場。先行Pとともに大テラスに出る。
7P Ⅴ+ 40m(A木)
どうやらここがルートの核心部らしい。出だしの1手がちょっと難しい。
ハンガーボルトにプリクリップして挑む。むむ・・I村さんの誘導で、リーチぎりぎりながらもガバ発見。ここを越えれば、あとは楽しく・・と思ったが、終了点直下のスラブを乗り越すのがかなりいやらしかった。無事自分のパートは終了!
終了点のテラスでセカンドのI村さんをビレイしながら、先行Pと会話。どうやら京都からお越しとのこと。諸事情により京都→富山→錫杖と、3連休は大冒険されたようで、楽しくお話させていただきました。
8P Ⅳ+ 50m(I村)
このピッチ、脆いスラブなので省略されることが多いらしい。先行Pは登らずに懸垂で降りることにするとのこと。ビレイしながら我々もそうしようかなと思っていたところ、上から男女ペアが懸垂で降りてきた(彼らも京都から来たらしい)。仮に我々もここで終了とすると3番手になりそうだ。京都ペアの勧めもあって、I村さんが登攀を決意。
はがれそうな細かなホールド、支点は少ない。いやらしさ満点だ。
それでも京都女性の声援を受けながら、グイグイと高度を上げてロープいっぱいまで伸ばしてビレイ解除の声がかかる。
フォローで登った先には開けた空間が。前衛壁のピークを確認した後は、懸垂下降。明日登る予定の「注文の多い料理店」をチラ見しながら北沢に降りて登攀終了。

これが核心ピッチ7Pの取付き。若干ボルダー的なムーブで面白い。

ヘッデンでテン場まで下って、再度適地を探索。あいかわらずI村さんのテン場サーチ能力は素晴らしく、ちょうどよい場所を確保。
焼酎の沢水割でいい感じになりながら明日の予定を確認。連休最終日で高速道路が渋滞するうえ、できれば私が車検に車を持っていきたいという事もあって、4時起床&日の出とともに登攀開始という予定で就寝した。

=Day2:注文の多い料理店=
目が覚める。周りが明るい気がする・・・時計はすでに6時だ。
寝不足のオッサン二人の無理な計画は早くも破綻した。
急いで身支度を整え、アプローチを急ぐ。もう汗だくだ。

こちらが注文の多い料理店。名店の料理は辛めでした。

取付きに到着すると、ちょうど先行3人組が1P目に取り掛かっていた。
「遅いので、1P目の終了点で抜いてください」
とのことで、急いで身支度を整える。
今日はどうやら3P目が核心らしい。志願して私が奇数ピッチを担当させていただいた。

1P Ⅳ  30m(A木)
草付きのフェースを登る。日陰でうすら寒い。取付く時間が早ければ、相当寒かったかもしれないな・・と寝坊を正当化する。大きな草付きテラスのペツルで終了点を切る。
2P 5.8  20m(I村)
草付きテラスから左ナナメ上に伸びるクラックを登る。途中から右のフェースを登るのだが、すこし行き過ぎながらも危なげなく終了点に到達。
3P 5.9  25m(A木)
出だしのハングを越えるところが超絶シビレる。
精神安定剤がわりに大き目のカムを必要以上に打ちながら(途中の残置カムで、ついA0しちゃいました。。)何とか乗り越えた。
ほっとしたのもつかの間、初見ということもあってその後のクラックもまあまあ難しい。
せっかく持ってきたのだからとカムを多めに消費。なんとか終了点にたどり着く。

いつもよりも慎重にセカンドで登ってきたI村さんと時計をみる。
もう結構よい時間だ。核心ピッチも終わったことだし、ここで本日は終了。懸垂で北沢に戻って下山することとなった。

岩場からの下山途中、錫杖岩舎を見学。かなり快適そうだ。住人の方と少しお話。
どうやら岩舎の確保のために連休前から入山、アプローチの刈払いなどもしてくださっていたとのこと。本当にありがたいことだ。
さらにありがたいことに、刈払いの途中でGETしたというマイタケをおすそ分けいただく。
(マイタケは炊き込みご飯で美味しくいただきました。感謝)

岩舎からの眺め。マウンテンビューの最高の宿です。

その後はテン場を撤収して下山。帰路につきました。
結局渋滞はしたのですが、おかげさまで車検の入庫にはギリギリ間に合い、すべて順調に終了することができました。
I村さん、今回もありがとうございます。
また来年、注文の多い料理店に行きましょう!!



槍ヶ岳(会員山行)

メンバー : N(L)、I

4/27(土)上高地8:30→ババ平13:30

4/28(日)ババ平3:30→槍ヶ岳山荘7:30→槍ヶ岳8:30→槍ヶ岳山荘10:00→ババ平11:40~12:10→徳沢15:00

4/29(月)徳沢5:30→上高地6:50下山

久々に上高地から入山。今回は昨年入会したI君の初槍。久々とは言え、月日は流れど変わらぬ梓川沿いの気持ち良い遊歩道を昔を懐かしみながら歩く。変わってしまった風景もあれば変わらぬ風景もアリ、昔のことは若き耳にはどのように届いたか・・・

もう少し暖かい日が続けば花園になりそう

     

相変わらず太々しい・・・昔と変わらず人慣れ

     

徳沢・横尾間は工事中で遠回り

        

13:30ババ平着

急に気温が下がり雨や霙まじりの中、凍えながら急いで整地してテントに潜り込む。

ビールで乾杯すれば狭いテントもまったり快適な我が家となる。

   

早暁2時起床・3:30出発、アイゼン付けて凍った雪面を快適に歩く

   

最後の登り・・・喘いでいます・・・

     

心打たれる期待通りのいつもの風景が広がる

    

初槍おめでとう

      

合宿前半組がいる穂高方面

    

AM8:40 前穂山頂に合宿チームの姿は・・・見えない

    

富士山・南アルプス・八ケ岳・浅間山・奥秩父

    

笠ケ岳に白山・・・日本中の山が全部見えそうです

     

どうしても徳沢園でランチしたいとのことで急いでババ平に戻りテント撤収して向かったが、売り切れでありつけなかった。残念。

この中にテント張りました。 どこっ?

   

半年ぶりに土の上にテント張って寝た。地面の暖かさが心地よかった。

シーズン初めということもあるが大槍の登り下りは見た目より悪かった。少しでもミスをして滑転落すれば軽いケガでは済まされない。たいぶ雪は消えたが、雪が溶けて氷と化しアイゼンのつま先だけ使うところも多く夏場のように楽しく誰でもが登頂できる状態ではなかった。

4月会山行での岩場でのアイゼントレーニング、雪が溶けて氷となった所では2月会山行のアイスクライミングでのピッケルやアイゼンの使い方が判っていないと通過できなかった。

さらに安全を担保するためにザイルで確保しながら大槍を往復した。登り下りのルートが1本に限定されすれ違いに待ち時間があったこともあるが大槍の往復に通常の3倍(2時間)も掛かった。

自ら技術を学び、研鑽し、自らの可能性を高め、憧れの領域に近づいていくことの裏返しは、気づかない内に自ら死線の領域に立ち入っていくことであることも忘れてならない。

決して奢ることなく遭難防止を図りながら山を楽しむために必要な『コト』を今後も続けていきたい。

2022.12.28~2023.1.1 冬合宿・厳冬期・槍ヶ岳

今年度の冬合宿は厳冬期の槍ヶ岳登頂を目指し3パーティー8名の参加で行われた。幸いにも計画と天候がマッチしたことや、偶然居合わせた岳人達の力もあって標高3180mの頂への道が開かれ最高のお正月を迎えることができた。

Aパーティー メンバー:N山・A木・M村・S根

12/28 新穂高温泉7:00 → 槍平15:00

12/29 槍平9:30 → 中崎尾根トレース付け14:00 → 槍平16:00

12/30 槍平5:00 → 中崎尾根~西鎌尾根 → 槍ヶ岳13:30 → 槍平18:00

12/31 槍平7:00 → 新穂高温泉11:30

Bパーティー メンバー:F寺・I村

12/29 新穂高温泉8:00 → 槍平15:00 以降はAパーティと合流

Cパーティー メンバー:Y内・T橋

12/30 新穂高温泉12:30 → 槍平18:30

12/31 槍平5:45 → 中崎尾根~西鎌尾根 → 槍ヶ岳12:00 → 槍平17:00

1/1 槍平5:30 → 新穂高温泉9:00

(以下 記録文)・・・ 記録文最後に超高画質4K動画をお楽しみください。

12月28日 天候:晴

この日はAパーティ4人の入山日

新穂高温泉にて地元テレビ局の取材を受ける。ニュースWEB版に掲載された。

クリスマス寒波明けで良い天気

林道に入り直ぐにトレースが細くなりワカン歩行となる。全員70L~100Lザックという重荷もあり行程ははかどらない。

途中で12月12日以降、未だ雪が深くて槍ヶ岳に到達できていない情報を下山者から得る。

槍平へ最後の登り

皆、バラバラになりながらも槍平に着いたのは15時過ぎだった。

12月29日 天候:雪

この日はAパーティは中崎尾根のトレース付け、Bパーティ2人が新たに入山・合流してくる。

Aパーティは7時過ぎに出発したが、中崎尾根にトレースが既に付いていることと、昨夜から降雪が続いていて日中にトレースが消えかかる時間帯を狙って再出発することとし一旦槍平へ戻りアルコール入り水分補給などして英気を養う。

9時半になり気を取り直して再出発した。トレースは半ば埋もれつつあり図星だった。先行者のトレースを維持できればこの日のミッションは完了。

奥丸山の登り中間地点

途中先行者に追いつき先頭ラッセルを総勢10名ほどで交代しながら14時まで中崎尾根のラッセルを行い帰路につく。

帰りもトレースが消えかかっていて再びラッセルして槍平へ戻る

槍平に16時に戻り無事にBパーティと合流できた。夜半には夜空一面に星が瞬き明日の天気を約束してくれていた。(瞬くということは上空は風が強い)

12月30日 天候:晴

本日はA・Bパーティ6名合同で山頂往復、Cパーティ2名が新たに入山してくる。

A・Bパーティは槍平を5時にヘッドランプ・ワカンで出発。前日のトレース付けの効果もありラッセルはあるものの夏道コースタイムプラスアルファ―ぐらいで奥丸山の登りをこなす。

奥丸山まで登ればしばらく下り基調で中崎尾根をラッセル

中崎尾根にテント泊した先行者たちが上部へトレースを伸ばしてくれていた。

約束通りの姿を見せてくれた

9時に2350m付近のテンバ適地に着く。風は強いものの登れそうなのでワカンをアイゼンに履き替えた。

飛騨沢に槍平を夜半に通過したスキーヤーのシュプール・歓喜が聞こえる

11時前には千丈乗越に着き西鎌尾根の登りとなった。この時点で引き返すタイムリミットを13時としていたが、強風に不安がありつつもこの快晴じゃあメンバー全員行く気満々になってもしょうがないかな?と思いつつもいざとなったらビバークしても良いかな?とかは一つも脳裏を横切らず必ず槍平で祝宴・祝宴・・・・強気・強気・・・。

雪煙舞う稜線 風速20mくらいかな?

槍の肩の小屋前に着いたのはタイムリミットギリギリの13時だった。ココまで来たら最後まで登るしかないってことで槍ヶ岳山頂13時半。

N山にとっては1994年北鎌尾根、1995年槍穂高縦走での登頂以降、色々なルートから数年おきにチャレンジしてきたが中々登らしてもらえなく、この時期久々の登頂となり感無量。いっしょに登ってくれた仲間に感謝。

祝!登頂!(ピッケルバンドが風で吹き上げられる~)

昨年・今年の入会者たちが登頂を果たせた。おめでとう。

気温はマイナス17℃で意外にも暖かい

弱い冬型で加賀の白山で落としきれなかった雪雲が流れてくる

14時に下山開始した。この日は先行者たちと我々以外には誰も追走してこなかった。

夕刻に近づくにつれ風が強くなってきた

槍平への下山はトレースの無い飛騨沢ではなく往路を忠実に戻る。

稜線から下降開始してほどなく新人のアイゼンが外れるハプニング、カリカリに凍った雪面でなく岩が出た凍った草付き斜面で良かった。リカバリーが早く大事にはならなかったがリューシュの無いテムレス等、山岳会としてヒヤリハットとして反省すべき点が多数見つかった。

中崎尾根の下降は踏み固められたトレースとなりアイゼンが効き快適だったが、登り返しがいくつもあり時間が掛かり疲労が増した。

雪雲の下に降りてくると雪がちらついてきた
17時 夕日に燃える稜線 明日の晴れも約束か?

奥丸山の下降からヘッドランプとなり槍平には18時過ぎに着いた。

Cパーティとは程なくして合流できた。

12月31日 天候:晴

A・Bパーティーは一足早くお先に下山。温泉・ノンアルコールで乾杯・飛騨牛を堪能して帰宅した。

Cパーティは槍平を5時半出発。前日、AパーティリーダーN先輩からルートの様子についてトレースがしっかりついていて、しまっていることを聞いていたので、始めからアイゼン装着とした。と思ったら、リーダーのアイゼンが壊れるハプニング。スリングで手早く固定し、気を取り直して出発。星がよく見えており、夜明けが待ち遠しい。

トレースバッチリ、槍ヶ岳もよく見えて気分も上がる

出だしから急登だが、先行パーティや他パーティのラッセルのおかげでトレースバッチリでアイゼンもよく効き快適に高度を上げることができた。夏道コースタイムより少し早めの6時半前に奥丸山分岐を通過。

飛騨沢を挟んで大喰岳と目的の槍ヶ岳が見える
朝焼けに染まる笠ヶ岳の稜線にしばし見惚れる
2022年最後の日の出

長い中崎尾根を夜明けの景色を堪能しながら進む。千丈乗越に着くと風が強かったが、ソロのベテランさんが「この程度ならマシな方だね」と笑顔。エネルギーを補給して風で消えかかったトレースをたどる。

風の当たらない少し西側に上がったところから西鎌尾根をみる
三俣に続く西鎌尾根。遠くに見えるのは鷲羽や水晶だろうか。

トレースを辿って上がったところは西鎌尾根から少し外れた槍ヶ岳山荘の南側のトイレそばだった。小屋が見えていたので多少ルートが外れても大丈夫と思っていたが、ガレ場と雪のミックスでわりと悪かった。

青空に穂先がばえる。
肩から槍沢方面をみる。富士山、常念方面、右手は南岳から穂高への縦走路かしら。あのギザギザはゴジラ??

風が強かったが、穂先は問題なく登れると判断しとりつく。

鎖を辿りながら慎重にのぼってく。
360度の青空と稜線さ
上の写真の引きの画像。いくら見てもいても飽きない。雲が来た方から上がってきてる。帰りは雪に見舞われそう。
祝い!登頂

自分Tが、穂先の降りでアイゼンの先をひっかけ、おっとととなるヒヤリハットあり。槍ヶ岳だけにマジでヒ槍としました。ふぃー。

冬期小屋で冷えた身体を温め、エネルギー補給後13時頃に下山開始。風はより強くなり空も曇ってきて雪が降り始めていた。帰りの尾根歩きは行きより長く感じ、テン場に着く頃は割とクッタリだった。ラッセルした先行パーティの体力に改めて感動と感謝。翌朝は早めに下山するために、登頂祝いの乾杯を質素にして、年越し蕎麦は食べずに年内に就寝。

1月1日下山もトレースのおかげで夏時間で到着。中崎温泉♨️で2022年の汚れを落とし帰路についた。Nリーダーの入念な計画と冬季槍ヶ岳への想いと先行パーティ達の無尽蔵な体力が全員登頂につながったのだと思う。ありがとうございました。

超高画質4K動画を大画面でお楽しみください。

最後までご覧いただきありがとうございました

2022年度 夏合宿 <槍ヶ岳 西稜>

2022年度の夏合宿は新穂高を出発とする<槍ヶ岳西稜チーム>と<双六岳縦走チーム>の2チーム構成でした。
ここでは、<槍ヶ岳西稜チーム>について報告いたします。

メンバー:AK(L)、YK、OF、SR(記)の4名
西稜登攀パーティー:YK=SR、AK=OF

[予定]
8月10日(水):新穂高-槍平(小屋泊)※縦走チーム3名と一緒
8月11日(木):槍平-飛騨沢-槍ヶ岳(西綾登攀)、槍ヶ岳山荘(泊)
8月12日(金):槍ヶ岳山荘-中崎尾根-新穂高温泉(下山)

当初予定は上記の通りでしたが、3日目の12日が雨天のため中崎尾根ではなく往路の飛騨沢経由で下山となりました。
天候と休憩を含めた行動時間は以下の通りです。

8月10日[入山]曇り時々雨:6時間15分
8月11日[槍ヶ岳山荘]雨のちくもり:4時間55分
   [西稜登攀]晴:5時間(アプローチ1時間)
8月12日[下山・飛騨沢]雨のちくもり:7時間50分

今回の西稜(曾孫槍-孫槍-大槍)には、8月11日の晴れ間に取り付くことができました。
先行1パーティー、後続パーティーなしで、ほぼ待ち時間もなく岩も乾き360度の眺望も満喫できた大変素晴らしく楽しい登攀でした。
ホールド、スタンス共に豊富で、登る者によってルートを選べる楽しさがあり、クライミング初心者にも楽しめるコースでした。
ただ、取り付きへのアプローチは、一般登山道からルンゼを下るルートで、浮き石が多く今回の登攀で一番気を遣った所です。
合宿の3日間、事故も無く仲間と共に楽しく登れたことが一番の収穫でした。

西穂高岳-奥穂高岳縦走

【行程(休憩含)】
8月1日(月)晴れ、新穂高ロープーウェイ-西穂山荘(約1時間5分)
8月2日(火)晴れ、西穂山荘-西穂高岳-奥穂高岳-穂高岳山荘(約12時間)
8月3日(水)晴のち曇り、穂高岳山荘ー涸沢ー上高地(約8時間)

【メンバー】SR(記)

2022年8月1日(月)~8月3日(水)、北アルプス西穂高岳-奥穂高岳を縦走してきました。
過去2度計画しましたが、22歳秋の1回目は初雪が降り、一昨年夏の2回目は大雨で断念しています。今回3度目は天候も安定していて楽しく無事縦走できました。

このコースは縦走路では難路に分類されていますが、今回縦走して感じたのは、クライミング(岩登り)を本格的に習っていない一般登山者には、一歩踏み外したら惨事となる緊張を強いられる危険なコースだとは思いますが、きちんとクライミングの基礎を修得した者にとっては切れるようなホールド、しっかりしたスタンスが豊富で楽しめる縦走路だと思いました。

ただし、西穂山荘から穂高岳山荘までは約12時間の行程となり、途中水場が無くエスケープルートも望めないので歩き抜く体力は必要だと思います。

私は、前日見たネットで、登攀用具があった方がよいとの情報を鵜呑みにして持参しましたが、登攀用具を使う箇所はまったくなく無駄に1.5kgの加重を背負うこととなり、水を含め合計約15kgの重さに後半苦しめられました。
ネットの情報の曖昧さを呪いましたw。
水は3L持ちましたが、後半節約して100mL残でした。

このコースにチャレンジする方はクライミングの基礎を習い、3級程度の岩場、具体的には日和田山女岩の登下降(下降はクライムダウン)をスムーズにできる程度に岩に馴れておくと楽しい山行になると思います。

蝶ヶ岳・常念岳縦走(春合宿前半)

日程:2022年4月29日(金)~30日(土)

メンバー:2パーティー(行動とテント泊をそれぞれとする)

P1:Y下さん(L)・K村さん(SL)・T橋さん・M黒(記)

P2:N山さん(L)・F寺さん(SL)・A井さん

多くの会員が参加できる様にと、4月末の前半チーム・5月三連休の後半チームと2班に設定された春合宿。4月末の前半チームは北アルプス 蝶ヶ岳・常念岳1泊2日の縦走へ出かけました。
天気予報では、合宿1日目は天気が下り坂、夕方からは悪天候となり、2日目は好天予報。決行か中止か変更か。皆で『創り上げていく山行』と位置付け、メンバー全員で意見を出し合い決定した「蝶ヶ岳・常念岳テント泊縦走」。1日目当日、悪天候は決定的の中での出発!メンバーの心うちはいかに…。波乱万丈の春合宿となるのでしょうか。

コース:三股P~三股分岐~まめうち平~(蝶ヶ岳新道)~蝶ヶ岳TS~蝶ヶ岳山頂~蝶槍~常念岳~前常念岳~三股分岐~三股P

三股パーキングを予定通り、6:30過ぎに出発。既に霧がかかっています。蝶ヶ岳のテント場に到着予定は正午。それまで雨が降りません様に…
登山指導所を通過。沢の雪解け水がゴーゴーと凄い音を出して流れています
登山道に入り、1時間もしないうちにゴジラの木とご対面!登山道に雪はありません
まめうち平に予定通り8:40に到着。ここから先は山頂手前まで雪道となります
アイゼンが効かない緩い雪質の急登が続きます。というか急登のみ。ノーアイゼンで進みます。重たいザックが…堪えます…
トラバースが何度も登場して、雪山1年生のM黒は滑らない様に終始緊張しまくりです(汗)
樹林帯の登りで一瞬緊張が切れ、ツルっと滑った時に後ろからY下さんがザックをサッと支えてくれました。その支えてくれた手からなんとも言えない力をもらい、その後気持ちが切れる事なく登ることができ、パーティー登山の真髄を感じました
途中、霧が晴れて常念岳が姿を現しました!明日、あの頂に登れるのかな~
山道をどんどん登っていきますが、天候は下り坂。時々雨がパラパラと降ります
正午に蝶ヶ岳テント場に到着!予定通りです。天候も予報通りに本格的に雨が降り出しました
雨が降る中急いでテントを設営し、夜の暴風に備え雪のブロックを積み上げてテントの防風壁を作ります。約1時間で完成!
以降は朝まで巣ごもり状態(笑)P1テントではA紀カフェから始まりA美スナックと進む、大おしゃべり会~。P2テントからも楽しそうなおしゃべりが聞こえてきます。
テントの外は、暴風&雨→霙→雪へと悪天候祭り。明日はどうなるんだろうね~と19:00には就寝
縦走2日目の4:30、テント場の前は一面に広がる雲海!
蝶ヶ岳山頂。目の前には穂高連峰~槍ヶ岳、遠くには富士山まで各地の山々が雲海の上から顔を出しています
朝日が上り、予定通り常念岳までの縦走の準備に取り掛かります
5:30にテント場を出発。パノラマ銀座縦走スタートです!左上後には富士山
朝日に照らされた槍ヶ岳。こんな絶景が見られるとは(涙)
縦走の間中、大展望が広がります。風も弱くなってきました。
N山さんの天気予報的中です!感動~!
蝶ヶ岳から蝶槍までのなだらかな稜線。360度大パノラマにテンションMAX!
P2のF寺さん、A井さんの後ろ姿が景色に馴染んで様になっています。素敵です
6:15に蝶槍に到着!穂高連峰~槍ヶ岳をバックに、この山行で初、全メンバーで記念撮影!
振り返れば蝶ヶ岳。右には御嶽山、乗鞍岳
前には常念岳の全容が見えてきました!
蝶槍の下りから雪道となります。雪が締まっていてアイゼンが効いて歩き易い
下ったと思ったら直ぐ登り。ここから常念岳までアップダウンの連続!
結構な急登となり新人M黒はストックでは大荷物を背負う体の安定が微妙となり、ピッケル使いたいなぁ、でも流れを止めちゃ悪いかなぁと思っていたら、絶妙なタイミングでK村さんからピッケルへ持ち替えの指示が!Y下さんにお手伝いをいただき、ピッケルに持ち替え、不安なく登ることができました!感謝!
歩いてきた稜線
アップダウン続きます。常念岳が近くなってきました。でもまだ遠い~。右に見える稜線が本日の下山コース
鞍部からは岩場になります。コース上に雪は全くありません
P1で2日間先頭を任されたT橋さん、いいペースで進んでくれて感謝!
長~い稜線。休憩を何度か入れて絶景を楽しみます。
先輩方はハードな山行が続き、ちょっとお疲れの様ですよ
10:00を過ぎても、大絶景!風もなく、穏やかな天候となりました
槍ヶ岳が随分近くなってきました!
10:20に常念岳山頂に到着!
ここから見える山で見えてない山はないのでは?という眺望!
北・中央・南アルプス、富士山、御嶽山に乗鞍岳、八ヶ岳、遠くは頸城山塊まで見渡せる360度絶景パノラマ!

景色を堪能した後、常念岳から前常念岳を経由して三股へ下りました。
ここからがなかなかタフなコースで、前常念岳までは雪の踏み抜きゾーン。何度か踏み抜き体力を消耗したところに、次は岩場の長ーい下り。岩に雪が付いてなくてよかったーと胸を撫でおろし、やっと樹林帯だと安心したのは間違えで、この樹林帯がまた長ーい!朝から11時間歩いて、三股Pに到着!

山との向き合い方を学ぶための今回の山行。多くの経験をし、学ばせていただきました。
一番印象に残ったのは、パーティー登山の在り方でした。困難を要する登山こそ、パーティーが重要。パーティーの一員として、まだ学ぶことしかできない自分ですが、より山が楽しくなりました。充実した2日間をありがとうございました!
今現在、前腿筋肉痛全開でしゃがむのに困難をきたしています…。