【春合宿①】鋸岳(~甲斐駒ヶ岳)

日程 2025年4月27日~29日(行程変更で28日までの1泊2日)
メンバー T橋さん、A木(L)

当初、剱岳小窓尾根を26日~29日の予定で組むも、A木の家庭都合により日程変更。
それでは…ということで八つ峰を狙ってはみたものの、シベリアからの寒気が入ってくるということで天候は今一つ。 
Bプランとして用意していた鋸岳~甲斐駒ヶ岳に行き先を変更することとなった。
一時はT橋さんの体調不良で催行が危ぶまれたが、さすがプロというべきご本人の迅速な処置対応で、なんとか26日早朝に埼玉を出発することができた。


DAY 1(4月26日)
順調に中央道を進んで戸台の仙流荘にたどり着いたのは朝8時。バス(戸台大橋まで乗車予定)の時間まではまだ2時間もある。そのまま車で登山口方面まで偵察に行くと、橋の先の立派な登山者用トイレの脇に駐車場が。これはありがたい!ということで今回はそちらの駐車場を利用して少し早めにスタートすることができました。
そこからしばらくは展望の開けた河原歩き。春とは思えない炎天下の中約2時間をかけて角兵衛沢登山口に至る。(途中、渡渉を数回行いますが、うまく飛び石を使わねばなりません)

ながいながい河原歩き。よく考えたら、帰りはもっと長くこれを歩く。
渡渉は慎重に。

角兵衛沢ではピンクテープが豊富に施されており、道迷いの心配はゼロ。
しかしながら新年度に入ってから毎晩のように宴席が続いていたボディに急登が堪える。
また、先ほどの河原歩きがしっかりと体内の水分を奪ってくれていたらしく、相当につらい登りとなったが、何とか15時前には宿泊予定地の岩屋に到着。
どうやら本日の宿泊者は我々しかいない模様。心配していた水も岩屋の奥から豊富にしみだしており、まさにテン泊好地。そそくさとツエルトを張って初日の疲れを癒す。

本日の泊地。なんと独り占め!
一部の看板はすでに木に食べられ始めていました
心配しましたが、岩屋の奥からは滾々と水が湧き出していました。
岩屋ではかわいい来訪者(ナントつがい)も!!
今回は軽量化のためツエルト泊。屋根のおかげて超快適。

どうやら明日は午後から天気は崩れ、未明からは結構な雪が降る可能性もあるらしい。
行程は伸びるが鋸岳通過後の中の沢乗越から熊穴沢を経て出発地に戻るプランに変更した。

DAY2(28日)
2時起床、4時行動開始。
ヘッデンを頼りに急登のザレ場?ガレ場?を詰める。きわめて登りづらく、体力消費が著しい。途中、左岸側に草付きが出始めるとその中を縫う道を発見。その後は比較的快適に高度を稼ぐことができた。(なお、道中にて快適なテン場を数か所確認。水さえ確保できれば良い場所と思われる。)

<第1高点>
角兵衛のコルに至ると、北側斜面はびっしりと雪。登るルートも凍結していることからアイゼンに装備を変更。
特に難しいところはないが、慎重に足を運んで第1高点に到達。2年前の春合宿で断念したピークにやっと立つことができた。

第一高点。なぜこんな体側が攣りそうなポーズになったかは謎。

<第3高点>
第1高点からは小ギャップとよばれる鎖場をクライムダウンする必要があるが、結構な急傾斜(若干ハングしている?)と手袋でおぼつかない手元を鑑みて約10mの懸垂下降。
その後、鎖のついた壁を登り返し、すっぱりと切れ落ちたナイフリッジをトラバースして鹿窓に到着。

夏場は鹿窓をくぐって第2高点を目指すのだそうだが、せっかくなので鹿窓の右をよじ登ってから第3高点を目指す。(第1と第2の間が第3高点。きっと高さの順なのだろう。)
ロープを出すほどではありませんでしたが、クライミング要素という点ではこの辺りが今回の山行で最も手ごたえのある部分だったように思います。
この部分を過ぎればあっという間に第3高点。そそくさと第2高点に向かうべく大ギャップを目指します。

<第2高点>
第3高点から少し下ると、枯れた灌木に多数のスリングが掛かっているのが見える。どうやら大ギャップの懸垂下降点のようだ。
枯れ木はすこし信用できないな・・と近づきながら見回すと、まだ生きている木にも捨てビナを擁した丈夫なスリングを発見。こちらを利用させていただいてA木が懸垂下降開始。
途中どうも谷底にはロープが届かないことが発覚。
少し登り返してテラスにあった立派な木でピッチを切る。
2番目にT橋さんが降りてくる途中、キャア!とかわいい悲鳴が聞こえるや否や、ドスン!!!と全くかわいくないサイズの大岩が私の目の前に落ちてきた。

ひえぇぇぇ・・
「フォールラインには入るな。」先輩に教わっていたことの理由を本当の意味で理解することができた。
気を取り直して2ピッチ目。若干トラバース気味に途中のバンドを降りつつ大ギャップの谷底に着地。
第2高点を目指して狭いルンゼを100mほど下る。
降った先からは左側の尾根を登り返して第2高点に。
最後のハイマツとシャクナゲの藪漕ぎは結構こたえた。

大ギャップ下降点から急傾斜の狭いルンゼを降る。足元ガレガレ、壁は触ると剥がれる。いやらしさ満点。
(写真では登っているように見えますが、下っています)
第2高点。南アルプスの山々が美しい。(画面外ですが)中央アルプスや八ヶ岳の峰々も見渡せる、素晴らしい眺望でした。

第2高点を過ぎると、ガイド本などでは特に難しいポイントはないとの記載が多い。
油断した我々を待ち構えていたのは・・・長い長~~い下りだ。

第2高点からの下りルート。おそろしくガレガレだ。
T橋さんが写っているので探してみましょう(レベル1)
嘘みたいだろ。登山道だぜ・・これで。
信じられないくらい悪いガレ道(というか道はない)が続く。この時点で1/5程度。
なお、右端の氷瀑はまだ碧い。冬季に登攀記録がありそうなので後で調べてみたい。
ちなみに、こちらもT橋さんが写っているので探してみましょう(レベルMAX)

ログをみると中ノ川乗越から熊穴沢渡渉点まで3時間強。
中の川乗越までガレガレ、熊穴沢はもっとガレガレ・・の急斜面を注意しながらの下りは二度と来たくないと思わせられるほど体力を削りました。

河原に出てから降り出した雨は思ったよりも強く、疲れた体を「冷え」でさらに追い込みます。長い河原歩きの末にようやくスタート地点に戻ったのは19時過ぎ。
ぎりぎり間に合った仙流荘の風呂で冷え切った体を解凍して帰路につきました。(スタッフさんのやさしい気づかいがまたホッコリ)

今回の山行のシメは昭和の喫茶店スタイルの「シャトレ」さんへ。
こちらでローメンとかつ丼、ジンギスカン定食と、なぜか2名なのに数が合わない、ストロングスタイルな食事をあっさりと制し、我々の春合宿は終了となりました。(山でもストロングになりたいです。。)

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2日目の行動時間15時間は結構疲れましたが、入会以来培った技術をフル動員できた、合宿らしい充実した山行となりました。
ご一緒した同期T橋さん、連絡先を引き受けてくださったY下さん、どうもありがとうございました!!(記録:A木)